東京急行電鉄田園都市線たまプラーザ駅

今年2010年10月7日、ショッピングセンター「たまプラーザテラス」が2006年からの改修工事を終えてグランドオープン、その際のイベントに弊社の宣伝広告用特殊マグネットをご利用いただきました。
「たまプラーザテラス」は東京の渋谷と郊外を結ぶ東京急行電鉄田園都市線のたまプラーザ駅周囲および駅舎上の複合商業施設の総称です。たまプラーザ駅は田園都市線の中でも利用者が増加し続けており定期外利用者の定期利用者に対する比率が他の多くの駅に比べて高いのが特徴です。
今回は宣伝広告用マグネットを実際に企画・実施いただいたK社企画開発部様に、今回のイベントに至る経緯などを伺いました。取材は弊社の渡辺が行ないました。
K社さん(以下K社)は五反田駅から徒歩で10分、交通の多い山手通りから100mほど入った静かな立地です。

(弊社)「K社さんとたまプラーザ テラスさんとのお付き合いの始まりは?」

(K社)「たまプラーザテラス前身のたまプラーザ東急SCさんの時代で2003年頃からのお付き合いです。最初は印刷物やノベルティーの製作を中心に担当させていただきました。印刷物は館内のフロアガイドなどで、ノベルティーは年末の「大抽選会」で使用する景品などです。どんなことでも協力できればというスタンスで、お付き合いさせていただいてきました。」

「たまプラーザの好きなところ」を書いてシールを剥がすと下からイラストが現れるマグネットです。

(弊社)「企画にあたって、御社としてはどのように自社の特色を出されようとしたのでしょうか?」

(K社)「まずは、たまプラーザに暮らす人たちの気持ちになって考えてみようと決めました。その上でおもしろいことはできないかと色々とアイデアを出し合いました。単に1つのポスターを作るとかありがちなイベントを企画するのは嫌だなと。このお話が来た半年前から、そこをポイントにして、そうすれば弊社の色を出せるのではと考えました。
先方からは、お客様とともに作っていくイベントでお客様と一緒に喜べるような企画がいいとご要望がありました。その上でいろいろ考えた結果、今回の“マグネットのノベルティー付きイラストボード企画”になりました

(弊社)そこで「お客様」というのは、たまプラーザテラスにいらっしゃったお客様の事ですね?

(K社)「そうです。いらっしゃるお客様に喜んでいただくことが、たまプラーザテラスを運営されている皆さんが最もうれしい事だと思うので、そこを必ず目指すべきだと思っています。それは今回のイベント企画だけでなくいろんなものを作っていく、あるいは考えていく時に一番大切にしたいと思っています。
この企画は元々、特大のイラストを作成してほしいというものでした。そのイラストは、以前弊社で製作したマイバック用に描き起こしたものなんですが、それに加えて『多くの人が参加できるイベント』にしてほしいという事になり、その方法をめぐって何度も何度も企画を持って行って、最終的にマグネットになったというわけです。
当初はタイル業者さんを回ったりもして、タイルを貼ってイラストの大きいボードを作ろうともしました。絵を描くとかですね。お客さんが参加して、一緒に絵を描いていく。でも実際に素人の方、あるいは子供さんが描くとなると、仕上がりのクオリティーが担保できないんですね。そこでもう、描いてもらうことはあきらめました。イラストはデータをきちんと出力する。その上でお客さんと作り上げる行為を共有するために、もう一つ仕組みが必要だなという事になり、マグネットのシールを剥がすという今回のアイデアになりました。

記念のマイバッグ

(ここで、以前製作された記念のマイバッグを持って来ていただきました)

(弊社)「これは、かわいいバッグですね」

(K社)「これにはたまプラーザの歴史があるんです。元々1982年にたまプラーザ東急SCというショッピングセンターが駅前にできました【現在のたまプラーザテラスのノースプラザ)。そこをずーっと運営してきて、駅前再開発を迎え、たまプラーザテラスとなるのですが、そこで『新しくなるのはいいけど、1982年から25年以上親しんできた、たまプラーザ東急SCという名前が無くなるのは寂しい』という声が地域の方からもあったようです。
そこで、何か地域の人の記念になる、残せるものが作れないか、という事で記念のマイバッグを作る話が持ち上がりました。弊社はそのときの企画として、マイバックに“1982年当時のたまプラーザ東急SC”と“2010年グランドオープンのたまプラーザテラス”の2枚のイラストを使う案を提案して採用いただきました。それが今回のマグネットに使ったイラストです。
イラスト自体の出来が良く、評判も良かったようで、今回の企画につながりました。バッグのとき以上に、いろんな人が見られるようにしたいという事で、具体的には『壁画にしたい』というお話でした。

一階壁画(マグネットがまだ少し残っています)

(弊社)「ところで、このイラスト、とても楽しいイラストですが、どのようにして作られましたか?」

(K社)まつやまたかしさんというイラストレーターさんにご担当いただきました。弊社のスタッフがネットなどで今回の企画に合う方を苦労して探しました。まつやまさんには、まずたまプラーザまで来て頂いて、クライアントさんに会っていただきました。でも、その時はすでに再開発が始まっていますし、1982年当時の街も見る事はできないので、過去の空撮写真や図面を見て参考にしてもらいました。さらに電車は時代性に合ったモデルを描いて欲しいとか色々とお願いしました。たまプラーザに古くから住んでいる方から『ああ、あの頃の』と言っていただければいいなというのが狙いです。作成したイラストは今回のイベントでも、実際に古くからお住まいの方から『ここはこうでした、あそこは』とか『元は駅前には何も無かった』など懐かしいお話をしてもらいました。このあたりは横浜の青葉区なのですが、『どこにお住まいですか?』と聞かれても『横浜です』と答えずに『たまプラです』と答えられる人が多い気がします。町に思い入れの強い方が多いんだなと思います。
そういった地域の方、あるいはクライアントさんのたまプラーザを愛する気持ちを今回の企画で叶えたかったというか、そこに響けば企画は成功だなと思っていました。そのために、マングースさんに声をかける前にもいろんな会社さんにいろんな企画を相談しました。壁画を作るために、いろんな職人さんに相談したりもしました。

(シールを取ったあとのマグネット)
上:2010年のたまプラーザテラス
下:1982年のたまプラーザ東急SC

(弊社)「壁画からマグネットに変わったいきさつは?」

(K社)「壁画をお客様に描いていただくとして、そんなに多くの方に同時に参加いただけないんですね。色にしても『ここはこれで、ここはこの色で』と細かく指示したのでは楽しんでもらえないかなと。今回のこのマグネット企画でも、お母さんは子供さんの手で参加させますから、描いてもらったとしてもこちらの思い通りに仕上がることはなかったと思います。お客様皆さんがイラストを描くだけに来ていただけるわけではないですし。
ほかにも1枚1枚のタイルに描いていただいて、それを集めて壁画にする方法がありますが、タイル1枚の価格が高価ですし、重さの問題もありました。
そこで出たのが以前からやりたかった“お客様に自由に持って行っていただく”という手法です。よくある方法ですが、『あれをもっと楽しくやれないか』と考えました。そこで『お客様にマグネットを剥がしてもらおう、さらにもう一つ仕掛けが欲しいから、マグネットにシールを付けて、シールで木を完成させてもらおう』というアイデアになりました。さらに、たまプラーザにはこの街を好きな人が多いから、好きなところをシールに書てもらって寄せ書きみたいにしようという事になりました。」

たまプラーザの好きなところ書いていただきました

(弊社)「イベント当日、お客さまはどのように参加されたのですか?」

(K社)「お客様には、まず1階通路のイラストのボードに貼ったマグネットを剥がしてもらいます。次にマグネットに貼ってある葉っぱのシールに“たまプラーザの好きなところ”を書いてもらいます。そのシールを持って、3階にある大きな木を描いたボードに、その葉っぱのシールを貼ってもらいました。
心配したのは、1階のボードから3階のボードまでかなり遠い事です。お客様にそれだけ歩いていただけるのかと。今回開業したお店だけじゃなく、すでにオープンしているお店にも喜んでいただきたいというクライアントさんの狙いがありました。ですので、今回もマグネットを配ったのは新しく開業したエリアで、貼っていただく木のボードは、すでにオープンしている3階部分としました。

イベント開始直後の会場壁画

(弊社)「イベント当日の反応はいかがでしたか?」

(K社)2,000枚全てが配布されるまで最後まで立ち会おうと思っていたのですが、内心何日かかかるだろうなと思っていました。それが実際には初日でほとんど配布してしまい、予想以上に好評でした。
私は3階で貼り付けるボードの前を担当しました。オープンの時間では、もちろん3階にはお客様が誰も居ないので、マグネットの配布状況がどうかなと思ってましたが、30分くらいしてお客様が1人来て、それからはどんどんお客様が来るようになりました。1階は、壁面いっぱいにマグネットが貼ってあったので、オープンと同時に、お客様から『これなあに、もらえるの』といった質問をいただいたり、マグネットに貼ったシールの下に絵が隠れているのを説明して、『このシールにたまプラーザの好きなところを1つ書いてください』3階に行ったらそれを貼って大きな木を作ってください』と説明すると『面白いわね』という事で、反応は大きかったですね。

開始から2時間後

でも、『3階まで行く人は少ないかな』と不安でした、そこで昼過ぎ位に初めて3階に行って木を見た時にもうすでにけっこう貼ってあって、最終的には600枚以上貼っていただけました。約2,000枚の配布ですからおよそ1/3を貼っていただいた事になります。1/3ですから企画としては成功と言えます。平日という事もあって9割以上が女性で、お母さん同士のグループも多く『うちの子供にもやらせたいので、明日もやってますか?』と聞かれたのは嬉しかったですね。

(弊社)「今後についての方針を少しお聞かせください」

(K社)「すでにある企画をどこかからもってきても、お客様は面白いと言わないと思います。ですから、案件ごとに新しい事を何か、追加していこうとしています。そういう考えが、今回の3枚に1枚を回収できるという結果になったんだと思います。」

開始から2時間後、3階の木のボード

(弊社・編集後記)
オープン当日12時頃、私渡辺もたまプラーザテラスさんを訪問しました。たまプラーザ駅改札口のスケールの大きさにまず感心し、次いでショッピングセンター全体がとても平日とは思えない人出で驚きました。弊社のマグネットは1階メイン通路の2枚の壁画に貼られており、K社の社員の方が次々とお客様の求めに応じて配布されていました。
K社さんは弊社がお付き合いいただく広告代理店さんの中でも異色に類する会社です。クライアントの要求を何らかのアイデアに変化させ、それを製品化させるため様々なメーカーにアプローチされています。今回のお仕事でも、弊社はK社さんから多くの着想やアイデアをいただき、おかげさまで製品化できました。
インタビュー最後に「K社さんのおかげで、良い製品ができました」と申し上げましたら「たまプラーザテラスさんのおかげですよ。何度も何度も 、弊社の企画を聞いていただきましたから」と嬉しそうにお話になっていました。

(文中、“たまプラーザテラス”および“たまプラーザ駅“についての説明は、ウィキペディアから一部引用しています)